娘に買い与えた、中古のiPhone 13 mini。
朝、100%まで充電して意気揚々と登校するくせに、帰宅する頃には10%台まで減っているという。
最初は「学校でスマホいじりすぎだろ、没収すんぞ」と思っていたのだが、どうやら本当にバッテリーが死んでいたらしい。
「設定」からバッテリーの状態を確認すると、表示されたのは驚異の「最大容量66%」。
Apple公式が「80%切ったら大人しく交換しろ」と言っているのだから、娘のiPhoneはとっくに虫の息、というか実質文鎮である。

さて、どうするか。 Apple正規店で交換すれば約14,500円。街の怪しい修理店でも8,000〜12,000円が相場らしい。
「まあ、そんな目ん玉飛び出るほどの金額でもないし、プロにサクッとやってもらうか」
そう思った瞬間、私の脳内で「DIYの神(悪魔)」が囁いた。
「ヘイ、ユー! ぬるま湯に浸かってんじゃねえよ。そこは男らしく自分で直してブログのネタにする一択だろ!」
その通りである。
その場のノリでAmazonを開き、互換バッテリーを即ポチ。 それにしても、Amazonに溢れる中華互換バッテリーの胡散臭さは異常だ。どれが良いかなんて素人に分かるわけがない。どうせ中身はどんぐりの背比べだろうと、一番安くて「スペック盛り盛り」のやつを選んでみた。

購入したのは、「4500mAhで2,599円」という怪しさ満点の商品。 ちなみに純正バッテリーは2,406mAhである。同じ筐体サイズなのに容量が倍近く増えるなんて、物理法則を無視したチャイナ・マジック以外の何物でもない。まあ、爆発しなければ何でもいい。
最初からつまづく(というか終わる)
YouTubeの「簡単!iPhoneバッテリー交換」的な動画をいくつか再生し、イメトレは完璧。さっそく作業開始だ。
……が、開始早々、最初のステップで絶望することになる。

まずは「ディスプレイを開ける作業」。
ドライヤーで熱を加え、本体とディスプレイを密閉している防水テープを緩めて剥がすだけ。 動画の中のプロ(笑)たちは、ドライヤーでササッと温め、吸盤でパキパキッと簡単に画面を開けている。

だが、現実は甘くない。全く剥がれない。
「おい、温め方が足りないのか?」
ドライヤーの熱風を浴びせ、吸盤の治具を親の仇のように引っ張り、格闘すること1時間。 ようやく、ディスプレイが本体からわずかに浮き始めた。

そのわずかな隙間にプラスチックのピックをねじ込み、力任せにこじ開ける。 精密機器の分解とは思えない力技。嫌な予感しかしない。
そして、その予感は見事に的中した。
「……あれ、薄くね?」
剥がれかかったディスプレイの断面を見て、血の気が引いた。
本来なら、液晶ディスプレイの金属プレートや基盤ごとゴッソリ剥がれるはずなのだ。しかし、私の手元にあるのは「一番表面のガラス板だけ」。 そう、無理やりこじ開けたせいで、ディスプレイを「層間剥離」させて真っ二つに引き裂いてしまったのだ。

冷や汗をダラダラ流しながら、一旦ディスプレイを戻して電源を入れてみる。

画面は、見事に部分死(ホワイトアウト)。
本来剥がしてはいけない液晶のインセルセンサーを物理的に破壊し、液晶そのものを文字通り「終了」させてしまった。バッテリーを替える前に、スマホの息の根を止めてどうする。

この時点で「新しいスマホ買い替え」の5文字が脳裏をよぎったが、諦めるには早すぎる。
「バッテリーがAmazonで売ってるなら、ディスプレイ単体だって売ってるはずだろ?」
藁にもすがる思いでAmazonを検索すると……
あった。さすが密林、なんでも売っている。
約5,000円の予定外の出費は死ぬほど痛いが、自分のゴミクズみたいなミスをリカバリーできる手段が見つかっただけで御の字だ。 翌日、新しいディスプレイが無事到着し、泣きながら作業を再開した。
分解と、前オーナーが残したミステリー
ディスプレイは既に剥がしてあったので、ディスプレイと本体を繋いでいるケーブルを外して分離する。
まずはディスプレイとバッテリーのコネクタカバーのブラケットを固定している、長いネジを1本外す。

バッテリーとディスプレイのコネクタカバーを外す。

バッテリーコネクタをロジックボードのソケットからまっすぐ引き抜く。

フロントセンサーアセンブリのカバーを外す。

次に、画面上部にある「フロントセンサーアセンブリ」のカバーネジを外そうとした、その時。
「ネジ穴は3つあるのに、ネジが2本しかねえぞ……?」
ミステリー発生である。 この端末は中古で買ったものだが、どうやら前オーナー(または格安修理店)が一度分解した際、ネジを締め忘れてそのまま蓋をしたらしい。中古スマホ市場の闇をこんなところで実感するとは思わなかった。

気を取り直して、フロントセンサーアセンブリのコネクタを慎重に外す。

これで、無惨に引きちぎられた旧ディスプレイと本体の分離が完了した。

続いて、本題のバッテリー交換。

こいつも本体に両面テープでがっちり固定されているので、ヘラで力任せにベリベリと剥がし取る。
(※後から知ったが、このテープは端のプルタブを引っ張ればスルスルと綺麗に剥がれる「ストレッチリリースタイプ」だったらしい。力任せにやってバッテリーが発火しなかったのは、単に運が良かっただけだ)

新しいバッテリーをセット。ここだけは驚くほどスムーズにジャストフィットした。

ディスプレイの交換と、心臓に悪い移植手術
さて、自業自得で買い足す羽目になったディスプレイの交換だ。
iPhone 13 miniの純正ディスプレイは美しい「有機EL(OLED)」だが、Amazonで交換用有機ELを買おうとすると目玉が飛び出るほど高い。 今回はミスによる出費を抑えるため、値段が3分の1で買える「液晶(LCD)」の互換パネルで妥協した。 純正より少し厚みが増し、黒の締まりも悪くなるが、自業自得である。映れば文句は言わせない。
しかし、新しいディスプレイをそのままポン付けして終わり、とはいかない。 古いディスプレイから、マイクやセンサーが一体になった「フロントセンサーアセンブリ」を剥ぎ取り、新しいパネルへ移植しなければならないのだ。

アセンブリを固定しているネジを外し、

メタルカバーを外す。

環境光センサーを外す。

そして、最難関の「近接センサー」の取り外し。
ここも接着剤で固められているため、ドライヤーで温めながら、ピンセットで「壊れたらFace ID終了」という恐怖と戦いながら、慎重に、慎重に剥がす。心臓に悪すぎる。

センサーの摘出に成功。

これを新しい液晶ディスプレイに移植し、逆の手順で組み立てる。


ここで一度、仮組み状態で電源を入れてみる。

リンゴマークが点灯。画面は無事に映った。

タッチ感度も悪くない。よし、勝った。
最後の仕上げは、本体フレームに残った古い防水接着剤の残渣を掃除する作業だ。

YouTubeの解説動画では、この接着剤が「気持ちいいほどピチチチッと一発で剥がれる」のだが、現実は全く剥がれない。細切れになってネチャネチャとフレームに居座り続ける。
プラスチックのピックで、ひたすら地道にゴリゴリと削り落とす。

はっきり言って、この不毛な掃除作業だけで30分以上かかった。動画の綺麗に剥がれるやつ、絶対ヤラセだろ。

綺麗になったフレームに、付属の新しい防水シールを貼り付ける。

あとは分解したステップを逆再生するようにネジを締め、ディスプレイをパチンとはめ込んで作業終了だ。
緊張の瞬間。電源を入れ、「設定」>「バッテリー」を開く。

「最大容量 100%」
完全勝利である。 画面は有機ELから液晶に格下げされたため、若干発色がのっぺりしたのかもしれないが、娘が動画を観るくらいなら何の問題もない。
まとめ
画面破壊という特大の自爆イベントのおかげで、延べ2日、実作業2時間強の大手術となってしまった。
もし次回があるなら(絶対にあってほしくないが)、バッテリー交換だけなら30分で終わらせる自信がある。
今回の人柱体験から得た教訓は、「とにかく最初のディスプレイ剥がしがすべて」ということだ。 精密機器だからとドライヤーの加熱をケチると、中の粘着剤がビクともせず、私のように画面を真っ二つに引き裂く羽目になる。「素手で触ると熱い」と感じるレベルまでガッツリ熱を通すのが鉄則だ。
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互換バッテリー:2,599円
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やらかしたおかげで買った液晶画面:4,890円
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総額:約7,489円
画面をぶっ壊した瞬間は目の前が真っ暗になったが、結果的に「修理店でバッテリーだけを替える(約8,000〜12,000円)」よりも安く、バッテリーも画面も新品(格下げ液晶だけど)になった。 結果オーライ、完全な「勝ち」である。
皆さんもiPhoneを自力で修理する際は、ドライヤーをケチって画面を破壊しないよう、くれぐれもご注意いただきたい。


