経験者だから語れる事
普通二輪免許、大型二輪免許ともに一発試験を1回で合格した経験をもとに、一発合格のために実践した事や試験後に感じた試験合格のツボを解説をします。
しっかりと準備を整えれば圧倒的にお得に免許が取得できます。
一発試験の受験を考えている人は「駄目モト」といった気持ちで受験しても高い確率で失敗する事を知っておいて下さい。
合格の最短ルートは試験用の基本動作をしっかりと体に染み込ませる事とコースを覚える事です。
一発試験のメリットとデメリット
まずはじめに、一発試験は万人にお勧めできる免許取得方法ではありません。
原付を含め一度もバイクに乗った事の無い方や、通常操作に不安がある人は、公道に出た時のリスクや、後のバイクライフを考えると教習所で取得での取得をお勧めします。
メリット
- 時間と費用を大幅に節約できる
デメリット
- 合格率が低い
- 平日しか受けられない
- どつぼにハマると時間、お金、労力、精神的ダメージを受ける
費用と時間の比較
大型二輪(所有免許:普通二輪免許)
一発試験に1回で合格すると、6100円で免許を取得する事が出来ます。
教習所 | |||
日数 | 金額 | ||
・技能教習 | 12時間 | 7日(最短) | 10万円~ |
一発試験 | |||
日数 | 金額 | ||
・技能試験予約 ・適性検査 |
1日 | 合計2日 | 6100円 |
・事前審査 ・技能試験 ・免許交付 |
1日 |
普通二輪(所有免許:原付または無し)
教習所 | |||
日数 | 金額 | ||
・技能教習 | 19時間 | 9日(最短) | 16万円~ |
・学科教習 | 26時間 |
一発試験 | |||
日数 | 金額 | ||
・技能試験予約 ・適性検査 |
1日 | 合計4日 | 2万2300円 |
・事前審査 ・技能試験 ・免許交付 |
1日 | ||
・取得時講習 | 3時間+応急救護講習 | ||
・免許交付 | 1日 |
採算分岐点(ブレイクイーブンポイント)
普通免許を持っている方が、一発試験の受験回数と教習所を利用した場合の採算分岐点を見てみましょう。
コストパフォーマンス分岐点
金額だけで判断するなら、22回目で合格出来れば教習所より安上がりとなりますが・・・・
一発試験 | 教習所 | |
試験回数 | 免許取得までの費用 | |
1回 | 2万2300円 | 約11万 |
2回 | 2万6350円 | |
5回 | 3万8500円 | |
10回 | 5万8750円 | |
22回 | 10万7350円 |
タイムパフォーマンス分岐点
日数だけを見ると8回未満で合格すれば、教習所より早く取得できるように見えますが・・・
一発試験 | 教習所 | |
試験回数 | 免許取得までの日数 | |
1回 | 3日 | 学科1時間・技能17時間 (教習は1日2時間として) 合計10日 |
2回 | 5日 | |
5回 | 7日 | |
8回 | 10日 |
どちらを選ぶか?本当のブレイクイーブンポイントは
金額で見れば22回、時間で見れば7回がコスパ・タイパの分岐点に見えますが、実際はどうでしょう?
7回で合格できたとして、1発試験の緊張感、不合格の時の落胆、試験日程の確保等、これを7回も繰り返すのは本当に大変な事です。
一発試験試験の実情
一発試験に挑戦するなら少ない回数で合格したいと思うのは当然なのですが、間違った認識を持っていたり、軽い気持ちで試験に挑むと確実にヌマにハマります。
一発試験のメリット最大限に生かすには、十分に準備を整え試験に臨む事が大切です。
合格率
一発試験の合格率は公表されていませんので、警察庁交通局運転免許課が公開している「運転免許統計 2022年版」を基に「算出」してみました。
教習所と失効等は試験免除ですので合格率を100%と仮定し算出しました。推定ですが実数に近い数字になるのではないかと思います。
2022年 普通二輪 | |||
受験者(人) | 合格者(人) | 合格率(%) | |
全体 | 22万6598 | 23万183 | 85.7 |
教習所 | 19万8060 | 19万8060 | 100 |
失効等 | 3万135 | 3万135 | 100 |
一発試験 | 4万403 | 1986 | 4.9 |
2022年 大型二輪 | |||
受験者(人) | 合格者(人) | 合格率(%) | |
全体 | 10万8306 | 9万6850 | 89.4 |
教習所 | 8万5490 | 8万5490 | 100 |
失効等 | 9275 | 9275 | 100 |
一発試験 | 1万3541 | 2084 | 15.4 |
- 普通二輪・・・・4.9% (約20人に1人)または(平均20回で合格)
- 大型二輪・・・・15.4% (約6.5人に1人)または(平均6.5回で合格)
なぜ合格率が低いのか?
まずは、普通二輪と大型二の合格率の差ですが、下記のデータを見ると次のような事が推測されます。
一発試験合格者タイプ | 普通二輪合格者:割合 | 大型二輪合格者:割合 | ||
タイプA 学科試験あり |
399人:20.1% | 45人:2.2% | ||
タイプB 学科試験免除 |
1587人:79.9% | 2039人:97.8% |
普通二輪の受験者の約20%は原付以上の免許を持たない人、つまりバイクの経験が無いと想定できます。
しかし、その想定を差し引いても普通二輪の合格率は低くなっています。
なぜでしょう?
自分の経験を基に推論してみました。
普通二輪と大型二輪では受験者はタイプが違うように感じました。
では、どこが(ナニが)違ってたのでしょうか?
- 服装、装備
- 緊張感(試験前後の態度)
- 年齢
普通二輪と大型二輪の合格率の違いは受験者側の意識の違いにあると私は思っています。
<普通二輪=簡単>
<大型二輪=難しい>
「とりあえず、普通二輪を受けてみようか」
こんな感じでしょうか。
普通二輪の受験者は意識が低いとは言いませんが、普通二輪の試験は大型二輪の試験より簡単であるという考えは間違えです。
合格率が低いのは、試験の難易度ではなく、準備・認識不足が原因なのです。
では、何をすれば良いのか?
ここまでは時間と費用、合格率、心構えなど前置きが長くなってしまいましたが、具体的に何をすれば良いのかを解説いたします。
試験を知る
初めて一発試験を受ける方にとって一番知って置きたいのは試験内容です。
試験コースの順路であったり、採点方法などが理解できていれば試験に集中する事ができます。
試験は減点方式です
100点満点からの減点方式で70点なら合格です。
いくらスラロームを上手に通過したり大げさに安全確認をした所で点数をプラスしてくれる訳ではありません。
例えば、スラロームなどが苦手で規定タイム(普通8秒・大型7秒)で走る事は出来ず、
2秒オーバーしたとします。
1秒オーバーに付き5点減点ですが、苦手な課題を10点減点だけで通過で来たと考えれば良いのです。
規定タイムを意識しすぎてパイロンに接触した場合は20点減点(倒すと即試験中止!)になります。
苦手は苦手で仕方ないので、苦手以外の部分で減点されない事が大切です。
極端な話ですが、普通二輪の一本橋の規定は7秒ですが、3秒で駆け抜けたとしても20点減点で済みます、落下は即中止です。
要するに30点までの減点だったら合格できるのです。
自分の苦手を把握し点数配分を予測して試験に臨むと良いでしょう。
コースを覚える
二輪免許の試験コースは各試験場、免許センターによって異なりますが、1~3パターン準備されており試験前に発表されますが、直前にコースを覚えるのは不可能だと思った方が良いでしょう。
合格するだけの技量が有ったとしても、コースを覚えていなければ合格はしません。
試験前にコースの予習は必須です。
技能試験のコース図は各試験場又はwebで入手可能です。
コース開放を利用する
多くの試験場では、運転免許試験場のコース開放を行っております。
実際の試験コースを利用して練習する事が出来るのは大きなアドバンテージです。
是非利用してください。
コース開放:東京都内の場合
場 所 | 府中運転免許試験場、鮫洲運転免許試験場 | |||||||||||||||
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開放日 | 土、祝、休日(日曜、12/29~1/3を除く。) | |||||||||||||||
練習時間 |
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練習の条件 |
都内の居住者
二輪免許(原付免許を含む。)の所有者
大型二輪・・・18歳以上
普通二輪・・・16歳以上
原 付・・・16歳以上
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持参するもの |
車両は、各自持ち込み。
料金 2,000円(1時間)
傷害保険料 200円
免許証、印鑑
ヘルメット、手袋
長袖、長ズボン、乗車に適した靴
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申込方法 |
予約制です。電話、又は直接試験場の窓口に申込み下さい。
予約は、練習日の1カ月前から前日までです。
練習時間は、1人1時間です。
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反復練習で試験用の走り方を身に着ける
コース開放等で練習のできる環境があったとしても、コースを覚える事だけで安心してはいけません。
よく「メリハリ」や「大げさに左右確認をする」と言われますが、それ以前に大切な事が有ります。
それは、減点されない走り方です。
以下のポイントをしっかり押さえ、しっかりと反復練習する事が一発試験合格の近道です。
スタートまでの基本動作
試験は走ってる間だけを採点されているわけではありません。
バイクに触った瞬間に採点は始まっています。
では、乗車からスタートまでの流れを見てみましょう。
- フロントブレーキをかける
- 後方確認
- サイドスタンドを外す
- 乗車する(右足はブレーキを踏んだ状態をキープ)
- ミラーの調整
- イグニッションON
- ニュートラルを確認
- クラッチを握る
- スタートボタンを押しエンジン始動
- ギアーを1速に入れる
- 右足をステップに乗せリアブレーキを踏む
- 右合図を出す
- 後方確認
- 発進
如何でしょうか?
バイクに跨ってコースに出るだけでも、これだけ多くの減点要素が潜んでます。
何も考えずにバイクに跨りそのまま発進してしまうと、コースに出るまでに5~10点減点される可能性があります。
乗車からバイクが動き出すまではスタートの儀式だと思い、完璧にできるまで反復練習しましょう。
ウインカーを出すタイミング
ウィンカーを出すタイミングは、右左折時の30m手前、車線変更の3秒前です。
タイミングが遅れたり、早すぎたりすると減点されます。
試験本番で実際に走ってる最中に30m手前や3秒前を正しく判断し操作するのは非常に困難です。
減点されないように確実にウインカーを出すには、コースでの反復練習が必要です。
その際、毎回30mや3秒前を考えるのではなく、予めウインカーを出す位置の目印を決めると良いでしょう。
安全確認の徹底
左右や後方確認のタイミングもウインカーと同じく、状況に応じて行うと言うより、試験コースの流れの中で同じ場所、同じタイミングで安全確認を行う反復練習を行って下さい。
車線/進路変更のタイミング
車線や進路の変更もウィンカーを出すタイミング同様、コース内で目印を決めると良いでしょう。
やってはいけない事
運転スキル以外で避けられる減点が有ります。
逆に言うと、認識の甘さが原因で減点される必要のない所で減点される場合があります。
下記やってはいけない事の一例ですが、これらを意識して練習すると良いでしょう。
- カーブの最中にブレーキを使う
- 踏切でのギアチェンジ
- 停止線ラインオーバー
- 右足着地
基本的には右足が着地する場面は発進時のギアチェンジ以外ありません。発進時Nから1速、停止してからのギア確認時は右後方の安全確認をしてから右足をついてギア操作をして下さい。
減点を恐れない
繰り返しになりますが、100点満点からの減点方式で70点なら合格です。
苦手セクションを無理に頑張り過ぎて一発試験中止になってしまうことの無いように自分の苦手を把握し点数配分を予測して試験に臨むと良いでしょう。
脱輪、転倒、パイロンを倒した場合等は即試験中止となります。
まとめ
一発試験の内容は技術的には特別難しい内容ではありません。
合格率が低い理由は準備不足による試験内容の理解不足と言えます。
試験本番になれば当然の如く誰もが緊張します。しかし、二輪免許の試験は競い合う競技のように本番で100%の力を発揮するのではなく、反復練習のおさらいとして考ることができるようになれば、気持ちにゆとりが生まれ平常心に近い状態で試験に挑むことができるでしょう。
大切なのは事前準備なのです。